手足が冷える、しびれるという人に(自律神経失調症)

自律神経失調症はよく聞く言葉ですが、どんな病気か知っている人は少ないでしょう。また、自律神経失調症の予防法というものも聞いたことがありません。
全国で60万人以上が自律神経失調症と診断されています。気がついていない人、予備軍まで合わせるとその10倍にもなります。これは他人事ではありません。

自律神経は生命を支える重要な指令機関です。その自律神経が不安定になっていたり、乱れていることに気づかずに過ごしていると突然のめまいや動悸、そして酸欠状態で倒れてしまうこともあります。
自律神経からのSOSを見逃していないでしょうか?

自律神経の安定度チェック

  1. 最近、よく肩が凝る
  2. 人間関係でいつもイライラしている
  3. 慢性的に便秘気味
  4. 食欲がなく食事も不規則
  5. 手足がしびれることがある
  6. 寝不足なのに眠れない
  7. 胃もたれが多い
  8. 人前に出ると緊張してどきどきする
  9. 原因不明の頭痛が多い
  10. 吐き気がすることがある

自律神経安定度判定

  • 該当数が2個以下
    心配なし
  • 該当数が3~6個
    要注意
  • 該当数が6個以上
    危険

人間の生命を支える指令機関自律神経のメカニズム

原因不明の吐き気や頭痛は自律神経からのSOS サイン

寝ても疲れがとれない、吐き気や頭痛がするなど。身体には異常がないのに起きるこのような症状の原因は、極度の緊張やストレス、疲労などからくる自律神経の乱れといわれています。

それでは、「自律神経」とは、いったい何なのでしょうか。人が持つホメオスタシス(恒常性維持機能)の大部分を担うのが自律神経。つまり、自分の意志に関わらない呼吸、循環、消化などの機能に、重要な役割を果たします。

自律神経は全身に張り巡らされていて、「交感神経」と「副交感神経」の2 つがあります。そして、脳(視床下部) から出された指令を、あらゆる内臓器官に伝え、コントロールする働きをしています。

交感神経は血流のルートを担当

指令ルートのひとつ、交感神経は主に血流ルートをつかさどり、全身に広がる血管を調節しています。必要な所に必要な量の血液を送ることによって、

  1. 呼吸
  2. 心拍数

への血流3体温や汗の重などを調整しているのです。

ところが働きすぎや慢性的なストレスなどで、心身の緊張状態が続くと、この調整が乱れ、1動悸・息切れ・呼吸困難、2頭痛・めまい・立ちくらみ、3冷え性・肩こりなどを引き起こします。冷え性の女性の場合70~80% ぐらいは、自律神経の変調によると考えられています。このように身近な体調不良も、交感神経の調整ミスが原因であることも多いのです。

自律神経が乱れの原因の症状
  • 運動会や遠足の前に下痢
  • 風呂上がりにたちくらみ
  • 怒られたときに、手に汗をかく
  • 冷房の強い部屋に入ると動悸が起きる

副交感神経は消化担当

もうひとつの指令系統、副交感神経は、主に消化ルートを担っています。つまり食事、消化、排泄へと続く食べ物の流れに関する指令です。胃液の量や腸の蟻動を調節することで、より効果的に栄養を吸収するための働きをしています。

副交感神経がきちんと働くためには、規則正しい食事、睡眠や休憩が大切です。これらが十分でないと緩和不足となり、消化ルート乱れが生じます。そして、胃もたれ・吐き気・食欲不振・便秘・下痢・腹痛などの症状が現われるのです。

不定愁訴は重なりあってあらわれる

このように、自律神経の乱れからくる体調不良には、様々な症状があります。検診では異常の見つからない、これらの体調不良を総称して「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼びます。

この不{疋愁訴は、重なり合って現われるという特徴を持ち、2大ルートにまたがって起きることも多いのです。不定愁訴は不定期、不規則に、体のあちらこちらで起きています。放っておくと習慣化して、恐ろしい自律神経失調症に襲われてしまいます。

主な不定愁訴
交感神経(血液ルート)
  • 頭痛・めまい
  • 肩こり・動悸
  • 息切れ・冷え性
副交感神経(消化ルート)
  • 吐き気・胃もたれ
  • 食欲不振・便秘
  • 下痢

1日の中でオンとオフの切り替えをスムーズに行う

人間の体は働いたら→休むこの繰り返しが大切

日の出とともに働き、日が沈むと眠る。これは太古の昔からの生体リズム。人間の体は起床から12時間を目安に、交感神経優位から副交感神経優位へと切り替わるようにできているのです。
12時間を超えて仕事や作業を続けるのはオーバーワーク。そして仕事や作業中でも、上手に緊張と媛和を切り替えることが大切です。

該当数が6個以上の危険領域の人
まずは少しの時間でもリラックスすることを心がける

常にイライラ、ドキドキ、カリカリしていませんか? 緊張状態がずっと続くと、自律神経は悲鳴を上げてしまいます。まずはきちんと休憩をとり、緊張を緩和しましょう。

連続作業の目安は1時間までです。例えば、羽田空港の管制室では出発管制と到着管制を1時間交代に、NTT番号案内では60分作業すると10分休憩としています。

労働省指針でも、VDT作業60分につき10~15分休憩となっています。
疲れ目軽減のためにVDT機器を使った作業環境を整える(パソコンのモニターの調節)

とはいっても「そんなに休憩していられない」という忙しいあなたには、休憩モードに入りやすい麦茶や杜仲茶がおすすめです。特に杜仲茶は、副交感神経を活発にし、血圧を下げる効果のある「ギニポシド酸」を多く含んでいます。

カフェインは交感神経を刺激するので、休憩にはカフェインの少ない飲み物を。

コーヒー・紅茶は朝食や仕事始めの時に飲みましょう。そしてもうひとつ効果的なのは、大きく一息「あ~っ!」です。息をゆっくり吸って、ゆっくり吐く。これは交感神経の緊張を解いて、副交感神経を活発にさせる効果があります。

杜仲茶を飲んで「あ~っ!」と一息。短時間でも素早くリラックスできる、切り替え上手になりましょう。それでもダメなら、自分だけで悩まず、医師に相談することをおすすめします。ストレスで起こる病気を中心に診察する「心療内科」という所もあります。「クヨクヨ」は、自律神経をさらに乱してしまいます。

交感神経が働きすぎのサイン
  • 朝寝坊して会社に遅れそう(心のドキドキ)
  • 通勤ラッシュ(心のドキドキ)
  • 渋滞にはまって(イライラ)、タバコを吸う(ドキドキ)
  • 携帯電話(ドキドキ)
  • 子供を叱って(イライラ)子供を急がせて(さらにイライラ)
  • 母親に叱られて( ドキドキ)急がされて(さらにドキドキ)

体だけでなく心の緊張でも自律神経は乱れます。
自律神経失調症の基礎知識はこちら。

該当数が3~6個の要注意領域の人
休憩時間はより効果的に

1日の中で最も「緩和の状態」にあるのは、睡眠中です。より効果的な眠りのため、食べてすぐ寝るのはやめましょう。胃に食べ物が残っていると、寝ていても胃袋は働き続けなければなりません。

これでは睡眠の妨げになってしまいます。食事は、寝る3時間前までに済ませることが大切です。また、心身ともにリラックスできるはずのバスタイムも、入浴方法を間違えると逆効果。熱いお湯は、血圧が急激に変化するので、交感神経を刺激してしまいます。
副交感神経には、37~40度のお湯に30分が効果的です。「休むときはきちんと休む」を心がけましょう。

該当数が2個以下の心配なしの人
自分流のスイッチングを見つける

毎日の生活の中で、緊張と緩和を交互に切り替えることが理想です。そのためには、自分なりの切り替えスイッチを持つことがポイント。「寝る前の1杯」も、切り替えスイッチのひとつといえます。
どんなお酒が適しているのでしょうか。酔える程度の適度なアルコール(15度)、眠気を誘う甘い味、そして鎮静効果のある香りずばりおすすめはピーチリキュール。
消化ルートを刺激しないよう、ストレートではなく、ぬるめのお湯割りが効果的です。アルコールの苦手な人や子供は、ホットミルクを試してみてください。
よい眠りへいざなうおやすみ前の飲み物を参考にするといいでしょう。

そして一時的に体温が低下するときに眠りやすいので、ベッドに入る少し前に、入浴をすませるのもよいでしょう。自分流の切り替え方法を工夫して、あなたの「自律神経」をいたわってあげてください。
快眠のための入浴法

手足が冷える、しびれるという人に(自律神経失調症)” に1件のフィードバックがあります

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