足を組んでいるかどうかも自覚がないぐらい無意識のうちにやっている人が多い脚組みです。電車の中でもほとんどの人が脚を組んでいます。脚組みによる危険な兆候は、何度も繰り返し、いつの間にか無意識にやるようになってから出てきます。
この影響は、 腰痛 です。腰が常に重だるい、起きたときは特に痛むという人は、普段の姿勢を見直してみましょう!
腰痛 チェック
- すぐに座り込んでしまうことが多い
- ベッドは柔らかめ
- 身体が硬いほう
- きつめの下着をつけている
- スポーツは滅多にしない
- 長時間同じ姿勢で仕事をしている
- 休日は家でごろごろしている
- 椅子に座るときは無意識に脚を組んでいる
- 横座りしていることが多い
どのくらいあてはまりましたか?
- 1個以下
心配ありません - 2~4個
注意が必要です - 5個以上
すぐに対策が必要です
日本人は腰痛人口が増加中
すぐ座り込んでしまう人やスポーツや運動をほとんどしない人は筋力低下
2足歩行の人類にとって腰痛は避けられない症状ではありますが、現代人の生活様式はさらにそこに拍車をかけています。
若者達は、通路であろうと道路であろうと平気で座り込んでしまいます。彼らを例にするまでもなく、現代人は歩く時間が減り、座ったままで仕事をすることが多くなりました。
意識的にスポーツで身体を鍛えることをしていない人は、ますます足腰の筋肉が衰えて、腰痛を抱えるようになってしまうのです。
では、何故足腰の筋肉が低下すると 腰痛の原因 になるのでしょうか?
背骨によって支えられている
私たちの身体は背骨(医学用語では 脊柱 といいます)によって支えられています。側面から見ると、正しい姿勢で立ったとき、それはゆるやかなS字のカーブを描き、首と腰はやや前に、背中は少しうしろに湾曲しているのがわかります。
実はこのカーブは上半身を支えるのと同時に、曲げたり伸ばしたり、ひねったりという自由自在な動きに上手く対応できるよう、こうした形になったものです。
これは四足歩行の動物にはない特徴です。つまり、人類が2足歩行を始めてから環境に適応するために長い年月かけて進化した結果できたカーブなのです。
その背骨は、周囲にしっかりとした健康な筋肉がないと本来のS字のカーブが保てません。ですから、筋力が低下すると姿勢が悪くなり、さらに背骨の歪みや筋肉疲労を招くことになり、腰痛を引き起こすのです。
人間の背骨は24個の小さな骨が重なったもの
この大事な脊柱( 背骨 )は1つの骨ではなく、椎骨という別個の小さな骨が重なってできています。椎骨はそれぞれの場所によって呼び名が変わり、一番上から7番目までの重い頭を支えているのが 頚椎 、8番目から20番目までの背中の部分を占めるのが 胸椎 、その下の5つで骨盤の上にのっているのが 腰椎 と呼ばれています。上半身を支える脊柱は、このようにまるでレンガを連ねたようなつくりをしています。
そして、1つ1つのレンガ・椎骨をつないでいるのが 椎間板 という組織です。椎間板は弾力性のある軟骨性の板で、運動の衝撃を吸収するクッションの役割を果たしています。
垂直方向に体重がかかるから腰に負担
腰痛の多くは、この椎問板をはじめとする脊柱の一部が痛んだり、ずれたり、脊柱を支える筋肉とのバランスが崩れたりすることによって起こります。
四足歩行の動物の場合には、背骨は水平であるため身体の重さは腰に集まることなく、4点に分散します。しかし、それに比べて二足歩行では、背骨が縦に配列されているため、どうしても垂直方向に体重がかかってしまいます。ある調査によれば、体重70kg の人では、普通に立っているだけでも約100kg もの負荷が腰椎にかかっているといいます。
このように上半身を支える腰の骨や筋肉には、常に過大な負担がかかっていて、多くの障害から腰に痛みを感じるようになったのです。
腰痛の原因は老化だけではない
腰痛といえば、これまで背骨の老化現象=お年寄りの病気といったイメージがありました。ところが現代では、子供たちの間にまで広がりを見せています。
現代日本人の腰痛人口が増えている要因には、前述した筋肉低下のほかに、次のようなことが考えられています。
- 運動不足による血行障害腰痛の原因のひとつに血行障害が挙げられます。筋肉内の血流に障害が起こると低酸素状態となり、筋肉組織内に痛みを引き起こす発痛物質(プラジキニン)が生みだされ、腰痛となってしまうのです。
- 長時間座って仕事をする人が増えたこと長時間、同じ姿勢をとり続けることは、筋肉に過度の緊張を与える原因になります。当然、運動不足の状態にもなるわけですから姿勢維持だけでも筋肉疲労を引き起こします。姿勢の悪い人は、この状態を起こしやすく、姿勢のよい人も長時間同じ姿勢をとり続ければ、腰痛を起こす可能性が増えるのです。
腰痛体質を根本から改善 腰痛にならないための生活術
思わぬ姿勢が腰を痛めてしまう
腰痛を引き起こす誘因は、自分でも気づかない生活習慣や姿勢の癖にあることが多いのです。例えば、ぴったりサイズのきつい下着の着用は、正しく着ていればともかく、サイズ違いやズレなど、むしろ血行を悪くするという悪影響になることが多いのです。
腰痛になってしまったら、とりあえずは専門医に相談することが一番ですが、そうならないために日頃から予防に努めましょう。毎日のちょっとした動きや姿勢が腰に負担をかけていないか、細かく見直していくことが腰痛予防の第一歩なのです。
腰痛の予防運動
腰痛チェックで5個以上だった人
もう、すでに腰痛の初期段階に入っているかもしれません。まずは腰痛の原因となる生活の4つのポイントをチェックしてみましょう。
1.腰の角度「掃除機をかけるときに注意」
人間は、まっすぐ立っているときが一番負担のかからない姿勢になっています。ただ、日常生活では、腰を曲げることが多くなり、どうしても不自然な姿勢になりがちです。
例えば、歯を磨くとき、掃除機をかけるときなどは、どうしても前かがみになります。これが、腰に負担をかけることになるのです。
腰の曲げすぎには、要注意! 腰の角度は20度以内にするのがポイントです。掃除機をかけるときには、ホースの長さを調節して、上体を伸ばして掃除しましょう。
腰を20度曲げると、直立時に比べて1.5倍の負担がかかります。常に上体をまっすぐに保つように心掛けるようにしましょう。
2.左右のバランス「同じ肩にいつもカバンをかけている」
身体が前後に折り曲がらない状態と左右に傾かない状態のとき、人間は正しい姿勢になります。ただ、左右が平行になっているかどうかは、自分ではなかなか分かりにくいもの。
例えば、買い物をしたとき、右手に重い荷物を持つと、どうしても右肩が下がった状態になります。こういうときは、荷物を2つに分けて持ち、左右同じくらいの重さに調節します。これで左右のバランスがとれます。また、いつもショルダーバッグを片側の肩に掛ける癖のある人は、注意が必要です。片側だけにバッグを掛けていると、知らず知らずに姿勢が悪くなってしまいます。できることならバッグはたすき掛けにしましょう。
3.長時間同じ姿勢「寝ている時の姿勢も」
台所などで、前かがみで立ちっばなしになると、腰に負担がかかります。そこで蛇口を手前に持ってきて、腰の角度を20度以内にしましょう。
また、足元に低い台を持ってきて、片足を交互に乗せるのも効果があります。朝起きると腰が痛い人は、寝ている姿勢に問題があります。仰向けに寝て、腰の反りが強い人、背中に手を入れて隙間が大きい人は、膝の下にクッションを置くといいでしょう。
こうすると腰がまっすぐになり、腰のこりを防ぐことができます。逆にうつ伏せに寝る人はお腹の下にクッションを置くといいでしょう。腰の反りはなくなり楽になります。このように寝るときの姿勢を見直すことは、腰痛予防の要になります。
4.無理な姿勢「髪の毛を洗うときにもひとエ夫を」
主婦にとって避けることのできない家事は、掃除、台所所仕事と、無理な姿勢を強いられます。
例えば、目線より高いところに洗濯ものを干したりすることがあります。こういうときは、腰を無理に伸ばすため身体に負担がかかります。このようなときは、台を使って目線と同じ高さにして、洗濯物を干すと、楽に作業を続けることができます。
また、中腰、前かがみで靴下や靴をはくと、腰に負担をかけることになります。面倒でも、椅子に座って靴下や靴をはくようにすると、背筋をまっすぐに保てるので腰の負担が軽くなります。
さらに髪を洗うとき深くかがみますが、浴槽の縁に腰掛けて髪を洗うことで腰が楽になります。
腰痛に効く栄養素
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンC
- カルシウム
- たんぱく質
特にビタミンは、B群、Eなどが腰痛と関係しています。特にビタミンB1は、筋肉・神経系の疲労を回復して、筋肉の疲労を和らげる効果があります。B1の1日の所要量は1mg 。これは豚肉120g で摂取できる量です。B1 はさらにニンニクや玉ねぎを一緒に摂ると、このふたつに含まれるアリシンの効果でl吸収がよくなります。ビタミンEには血管を拡張させて、血行をよくし、筋肉の緊張をとる作用があるので、痛みの緩和に役立ちます。
人間の身体の構造上、腰痛とは縁が切れません。今は大丈夫でも、少しでも腰痛の発生を遅らせるために、腰痛予防を実行することが大切です。