味を感じる味覚には「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」の4種類があります。そして味覚を感じ取っているのは舌の表面にある「味蕾(みらい)」という器官です。

味蕾は、成人で3000個ほどあり、かみ砕かれて唾液と混ざった食べ物が味蕾に触れると、その刺激が神経を通じて脳に伝わり、どんな味かが判断されます。

この味蕾は加齢によって次第に減少しますが、現代人には加齢と無関係に「何を食べても味を感じない」という味覚障害の人が増加中です。この味覚障害と深く関わっているのがミネラルの「亜鉛」不足です。

亜鉛 不足チェック

  1. 爪に白い斑点がある
  2. 髪の毛が抜けやすい
  3. 肌が荒れてかさつく
  4. 料理の味が薄く感じる
  5. 風邪をひきやすい
  6. 暗いところで物が見えづらい
  7. ドリンク剤をよく飲む

亜鉛 不足判定

  • 該当数が2個以下
    心配なし
  • 該当数が3~5個
    要注意
  • 該当数が6個以上
    危険領域

現代人が不足しがちな亜鉛とは?

亜鉛は200種以上の酵素の必須成分

身体の中では、エネルギーの生産や、細胞、組織の新陳代謝など、常にさまざまな化学反応が行なわれています。そして、こうした反応を促進する酵素の構成成分として欠かせないのが亜鉛を含むミネラル類。

体内には、亜鉛を必須成分とする酵素が、なんと200種類以上もあるといいます。それだけでも、亜鉛がいかに私たちの身体になくてはならないものかお分かりいただけるでしょう。

亜鉛がなければ話にならない

200種類もの酵素から引っ張りだこの亜鉛ですから、その活動のフィールドは幅広く、またたいへん重要な役割を担っています。中でも最も注目すべき働きは、細胞が新しくなる際のDNAの核分裂に関与しているということです。

新しい細胞が作られるときには、遺伝子の情報をコピーしたり、タンパク質を合成するなどの化学反応が行なわれますが、亜鉛が成分となっている酵素がこの反応を促進するのです。私たちの身体の至る所で繰り返される、細胞や組織の新生、新陳代謝に亜鉛は大きな役割を果たしています。

亜鉛が不足すると

亜鉛が不足すると、細胞分裂が活発に行なわれなくなるために、以下のようなさまざまな障害が起こってきます。

  • 子供では発育が遅れる
  • 肌荒れ
  • 傷の治りが遅い
  • 味覚障害
  • 抜け毛が増える
  • 性機能の低下
  • 免疫不全

まずは味覚障害が起きる

亜鉛不足の兆候がまず最初に現われるのは、味覚です。人間の舌には味蕾という味を感じ取る器官がありますが、これはわずか20日間で細胞が入れ替わる使い捨て細胞。

ですから、新陳代謝の立役者である亜鉛が不足すると、味蕾が再生されなくなって、「味が薄く感じる、味がしなくなった」というような症状が真っ先に出てくるのです。

特に、亜鉛が欠乏すると砂糖=タンパク質の味を感じる受容体が壊れやすいため、まず甘味を感じ取れなくなります。あなたは大丈夫? 近頃、濃い味つけでないと満足できないという人は、亜鉛不足の可能性大です。

家庭でできる味覚チェック
  1. ミネラルウオーター1リットルに砂糖小さじ1杯(6g)を溶かす
  2. )1をストローで1cc程度、舌の中央に垂らし、味を正しく感じられるかを判定する

0.6% の濃度の砂糖水は、味覚が正常ならば昧を感じるギリギリのライン「甘い」と感じた人は、まだ大丈夫。何も昧がしない、または辛い、酸っぱいなど甘味以外の昧を感じるという人は、亜鉛欠乏の可能性ありです。

亜鉛は男性の精力アップにも

世の男性にとって、見逃せないのは亜鉛不足と精力減退の関係。そういえば、精がつくといわれているものは、カキやウナギなど亜鉛が豊富な食べ物ばかり。

果たしてその真相のほどはいかがなものなのでしょう?実は、これはあながちウソともいえません。筋肉や骨、肝臓などに多く存在している亜鉛ですが、男性の場合、前立腺にも多く存在しています。そこで前立腺ホルモンの合成に関わって、精子を作りだす手助けをしているのです。
ですから、カキやウナギなど亜鉛をたっぷり含んだ食品を摂れば精力アップに役立ち、逆に、不足すれば性機能の低下、精力減退にもつながるというわけです。
もっとも、これは亜鉛不足が原因で性機能が低下している場合に限りますが。精子作りのお世話から脱毛の予防まで、亜鉛は男性にとっては、今、最も注目のミネラルといえるでしょう。

亜鉛不足を解消して細胞を元気に!

1日に必要な亜鉛の量

欧米では今、亜鉛は錠剤で売られ、ちょっとしたブームを呼んでいるといいます。ところが、わが国では、亜鉛に対する認識が低いためか、1日の摂取量が他国に比べて極端に低く、若い女性に至っては、1日わずか6mgという状況。

実際に若い女性知を対象に行なった血液検査でも、実に7割の人が亜鉛欠乏だという、残念な結果が出てしまいました。人体の新陳代謝、細胞の新生には、亜鉛の力が必要なのです。

私たちも欧米人を見習って、亜鉛不足解消を意識したほうがいいでしょう。日本では亜鉛の所要量は決まっていませんが、1日に成人の毛髪や皮膚、尿、健から失われる亜鉛の量は平均10mgぐらい。ですから、1日10mg程度摂れば安心です。
アメリカの場合、男性は15mg、女性は12mgと定められています。

該当数が6個以上危険領域「偏った食事が原因」

危険領域の人は、まずは食生活をチェックします。そもそも私たちの身体に必要な亜鉛の量は、通常の食生活で十分に摂取できるレベルなのです。
ですから、亜鉛が不足しているということは、普段のアンバランスな食生活が一番の原因だと考えられます。バランスのよい食生活こそすべての基本で、亜鉛不足対策です。

亜鉛不足にはカキがおすすめ

食事から亜鉛を摂るなら、なんといってもオススメは貝のカキ。亜鉛の含有量は、2位以下を大きく引き離してブツちぎりのトップです。

大きいものなら1個あたり約20mgの亜鉛が含まれていますから、これ1個で充分1日分の亜鉛がまかなえます。さらに、カキにはこんな優れた点も。
実は、亜鉛は銅と10対1のバランスで一緒に摂ると最も吸収率が高まるのです。
カキにはこの10対1の理想的なバランスで亜鉛と銅が含まれているのです。さらに、その他のミネラルも豊富に含まれていますから、ミネラルの供給源としては満点の食材といえます。カキを食べるときの注意点としては、できれば生で食べること。カキには水分が多いため、加熱するとせっかくのミネラルが水と一緒に流れ出てしまいます。

和食が効果的

亜鉛とミネラル不足を補うには、カキほど効果を発揮する食材はありません。しかしカキは、なかなか毎日は食べられないのが難点。
そこで、もっと身近で手軽に食べられる和食がおすすめです。昔の日本人は、ご飯(白米)から亜鉛を摂取していました。100g につき0.54 mgと含有量は少なくても、毎食の積み重ねで必要量をまかなていたのです。
しかし、近年の食生活の欧米化で、ご飯を食べなくなり、その供給源が断たれ、今の亜鉛不足を招くことになったのです。
昔ながらの一般的な和食には、1日あたり平均で約10mgの亜鉛が含まれています。ですから、1日3食当たり前に食事をしていれば、亜鉛が不足することはありません。

該当数が3~5個の要注意の人

すでに亜鉛不足の兆候が現われているようです。要注意の人同様、今すぐ食生活の見直しが必要です。3食きちんと食べているか?偏食はしていないか?無理なダイエットをしてないか?の3点は意識しましょう。

そして、普段洋食ばかり食べている人は、是非、1日1食だけでも和食を取り入れるようにしてみてはいかがでしょうか?和食には亜鉛を補うだけでなく、他にも優れた点がたくさんあります。

該当数が2個以下の心配なしの人

今のところ亜鉛不足の心配はなさそうです。亜鉛に関していえば、普通の食生活を普通にしていれば、それほど不足することはまずないはずです。
ですから、亜鉛を多く含む食材をたくさん摂ろうと神経質になるよりも、とにかくまんべんなく栄養を摂るようにすること。そうすれば、亜鉛は自然と摂取できます。